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絵画の保存・管理




油彩画の損傷原因と保存方法

 油彩画によく見られる損傷は、絵具の剥離(はがれたすること)、ひび割れ、黄変などです。これらは絵が古いものであるほど現れやすい老化現象です。また、カビなどのように明らかに管理ミスのために起こる損傷もあります。

1.絵具の剥離、ひび割れ

 ひび割れができたり、絵具がはがれるのは制作者がどのようなキャンバス、 絵具、ニスを使ったかによってことなります。室内が乾燥していると、さらに拍車がかかります。 確かに美術品にとって湿度はよくありませんが、乾燥させすぎるのも問題です。


2.黄変

  黄変には、2通りあり、1つは描かれたばかりで暗所に保存されることによる黄変、もう1つは老化によるものです。 老化による黄変などは結合剤である油の黄変化と油彩画に輝きを与え、保護する役割を持つニスの汚れが蓄積することによって起こります。 ニスの汚れは大気中の不純物によるものですが、特にタバコを多量に吸う場所などでは、モチーフがわからないほど黄変することがあります。

 また油彩画は光と酸素によって変色します。対策としては、空気を清潔に保つこと。直射日光や酸素に当てないようにすることです。



3.カビ

 日本は世界中の中でも特にカビが喜ぶ高温多湿気候の国です。カビは温度28度以上、湿度60度以上の環境が続くとまたたくまに繁殖します。
ですから、なるべく除湿に力をいれることが重要です。

 また絵を掛ける場所も窓際や開口付近は避けたいものです。額装の方法でもガラスをはめ込み密封したものは、中に湿気がたまりやすくなりますので、裏板に通気孔を開けたり、調湿剤を封入したりする工夫をしましょう。絵の表面は何ともないのに、裏はカビだらけになっているということもありえるので、チェックは定期的に行なってください。

 油彩画の額縁には本来ガラスは不用なのですが、水分を含んだ塵やタバコの煙による空気の汚れから保護するために、やはりガラス(アクリル)でカバーしたいものです。こうすれば、ほこりの拭き取りも楽にできます。

油彩画の損傷原因と保存方法

  空気調節をする、直射日光に当てないなど、基本的なことは、言うまでもありませんが、特に水彩画や版画で注意したいことは、マットによる変色です。

マットというのは、水彩画や版画など紙を使った作品の額装に一般的に使われる紙のことです。装飾的な意味もありますが、額面とカバーの密着を避け、中にこもった湿気によるカビの発生を防ぐ役割を持っています。

最近問題になっているのは、このマットに酸性紙が使われることによる変色などの損傷です。何年もたってから作品を額縁から出して見ると、マットがかかっていた部分が茶色っぽく変色していることがありますが、これは酸性紙による影響です。酸の影響は表面だけではなく、繊維組織にまで及びますから紙がボロボロになっていますこともあります。作品が明らかに、変色しているものはただちにマットを交換しましょう。

これから、水彩画や版画を購入購入しようという方へ

 買う前に一度額縁から出してダメージを受けていないかどうか調べるぐらいのことを思い切ってしたいものです。

マットだけではなく、額縁の裏側のフタになるベニヤ板も非常に酸の強い素材です。画材屋さんとよく相談して、マットも裏ボードも中性のものを使うようにしましょう。

 水彩画や版画を固定するために、直接マットの裏側にセロハンテープで貼り付ける人がいますが、これでは作品にテープの跡がつき、取り返しのつかないことになってしまいます。裏台紙にコーナーを作って固定するのが基本です。このコーナーにも中性紙を使うこと。



絵画の修復を専門家に頼む

 修復家が絵を直していくプロセスは大まかに分けると、

a.絵具層の固定 b.裏打ち c.画面の洗浄 d.欠損部分の重点 e.補彩 f.保護膜の塗布

となります。絵の損傷状況に合わせて元の状況に戻していきます。

a.絵具層の固定・・・ゆるんだ絵具層を、その下のキャンバスに接着剤を用いて固定させます。

b.裏打ち・・・キャンバスやパネルなどの基底材が劣化した時に新しい素材で修理、補強します。 キャンバス画に一番多い損傷は裂傷ですが、それを直すのに最良で、最も手間のかかる作業です。裏打ちは、裂傷を閉じ、ゆがみを平らにし、傷ついた絵の縁を補ったり、絵具の剥離も解消させるという、絵画修復における最も重要な処置と言えます。

c.画面の洗浄・・・脂肪を溶かす性質をもった弱い溶剤で長年蓄積した汚れを除去します。洗浄するだけで、絵が生き生きと輝きを取り戻すことがよくあります。ニスによる黄変が進行中の場合は、絵具層のまで危険にさらされるため、有機溶剤やメス、あるいは、粉末化によってニスの除去が行なわれます。

d.欠損部分の充てん・・・充てんとは空いているところをふさぐことです。絵具の塗膜の一番上の膜と同一平面になるようにします。

e.補彩・・・補彩は重点の後に行います。すぐ洗って元に戻せるテンペラなどの水彩絵具(油彩で補彩を好む修復家もいる)で、作者の筆触をまねながら色や形を埋めていく、神経を使う作業です。

f.保護膜の塗布・・・絵画修復の分野においては、最後に合成樹脂ニスが塗られます。これが天然樹脂よりはるかに黄変することが少ないという特徴をもっています。
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